
年収が600万円を超えると、資産運用のひとつとして「不動産投資」を検討し始める方は少なくありません。税制優遇やローン審査が通りやすいというメリットがある一方、空室リスクや資金繰りなどのリスクもあります。本記事では、不動産投資を検討している方に向けて、基本的な知識から物件選びのポイントまでくわしく解説します。
目次
そもそも不動産投資ってどんな仕組み?
不動産投資とは、マンションやアパートなどの不動産を購入し、入居者に貸し出すことで家賃収入を得たり、物件を将来的に売却して売却益を得たりする資産運用の一種です。とくに、会社員や公務員など安定した収入がある方は、金融機関の融資が通りやすいことから、比較的少ない自己資金で始められます。
不動産投資の収益は、主に「家賃収入から必要経費を差し引いた額」となります。必要経費には、管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料・ローン返済額などが含まれており、収支のバランスをとることが投資の成否を左右します。
また、物件購入時には、仲介手数料や登記費用といった初期費用がかかるため、事前にしっかりと資金計画を立てておくことが重要です。さらに、空室リスクや金利上昇リスクなども踏まえ、長期的な視点での情報収集が欠かせません。
なぜ年収600万円の会社員に不動産投資が向いているのか
年収600万円という水準は、一般的な会社員の中でも安定した収入層に該当し、不動産投資において大きなアドバンテージとなります。実際に、不動産投資サイトを運営する株式会社ファーストロジックの調査によると、不動産投資を始めたときの年収は600万円~800万円が最も多いという結果になっています。
その理由のひとつが「審査の通りやすさ」です。不動産投資を始めるにあたっては多くの方がローンを活用しますが、審査に通るには十分な年収や信用に値する職業である必要があります。年収600万円以上の会社員であれば、比較的好条件で融資を受けられるため、利率や借入可能額にも有利に働きます。
さらに、一定の可処分所得があることで、突発的な修繕費や空室リスクにも備えられます。副収入を得る目的だけでなく、将来の年金代わりや相続対策としても役立ちます。
また、所得税や住民税の節税効果も見逃せません。不動産投資による減価償却費や経費計上により、課税所得を抑えられるケースも多く、結果的に手取りが増える場合もあります。
このように、年収600万円の会社員は「投資余力」「信用力」「節税メリット」の3つを兼ね備えており、不動産投資を行う上で非常に有利な立場にあるといえるでしょう。
不動産投資による収益シミュレーション
不動産投資を成功させるには、収益シミュレーションをもとに実際の利益を見積もっておくことが大切です。ここでは、不動産投資の利益の考え方について、解説します。
平均的な家賃
国土交通省が2022年に実施した「住宅市場動向調査」によると、月間家賃の全国平均は約74,000円となっています。三大都市に限定すると、平均87,000円ほどです。
つまり、一部屋所有すると、毎月7~9万円ほどの収入が期待できます。
ランニングコスト
ランニングコストには、主に「建物管理費」「修繕積立金」「管理業務費(保険・税金)」が含まれます。中古ワンルームマンションの場合、毎月1~1.5万円のランニングコストが発生すると想定されます。
ローンの返済額
不動産投資の利益を計算するうえで、ローンの返済額は見逃せない要素です。一般的な返済比率は40~50%と言われており、家賃収入が10万円だとすると4~5万円をローンの返済に充てるのが理想的です。
年間の利益
年間の利益は、ローンの有無によって大きく変動します。現金一括で買った場合には、家賃収入からランニングコストを引いた金額が利益になります。
家賃が8万円の物件の場合、ランニングコスト1万円を差し引いて、毎月7万円の利益を得ることができます。年間で84万円の利益を得られます。
一方、金融機関から融資を受けた場合、毎月ローンの返済が求められます。ローンの返済額が月4万円だとすると、毎月3万円の利益、年間で換算すると36万円となります。ローンを受けていない場合と比べて、2倍近い差があります。
理想的な利回り
投資判断の目安となるのが「利回り」です。利回りは「年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100」で求められます。
ワンルームマンション投資における理想の利回りは、新築物件であれば3~10%、中古物件なら5.5~15%と言われています。
年収600万円の会社員が組めるローンの目安と審査基準
不動産投資を始めるうえで、融資を活用できるかどうかは非常に重要なポイントです。とくに、会社員の場合には、安定した収入と雇用形態が評価されます。年収600万円を超えていれば、ローン審査で有利に働く可能性が高いでしょう。
金融機関が不動産投資ローンの審査で重視するのは「返済比率」「勤務先の信用度」「勤続年数」「自己資金の有無」などです。一般的に、返済比率は15~25%以内が目安とされており、年収600万円であれば4,800万円前後までの物件購入が現実的と言えるでしょう。
なお、サラリーマン向けの投資ローンは金融機関によって条件が大きく異なるため、地方銀行やノンバンク系のローンも比較検討してみましょう。
不動産投資における物件選びのポイント
不動産投資で安定した収益を得るためには、利回りの数字だけで判断するのではなく、物件の状態や売り手の事情をしっかり見極めることが大切です。ここでは、初心者にもおすすめできる狙い目物件の特徴を4つ紹介します。
値付けが高すぎる物件
相場より割高な価格設定で売りに出されている物件は、販売開始から2〜3ヶ月たっても反響がないことが多く、売り主や仲介会社が値下げに応じやすい傾向があります。このようなタイミングで値引き交渉を行えば、相場よりも安く購入できる可能性があります。
仲介会社としても、売却までの契約をまとめたい意向があるため、こちら側に有利な条件を引き出しやすくなるのがポイントです。
汚い物件
一般的に、見た目が悪い物件は敬遠されがちですが、不動産投資においては狙い目です。なぜなら、リフォーム次第で優良物件に化ける可能性を秘めているからです。
たとえば、20㎡の単身者向け物件なら20万~25万円程度で内装を刷新でき、リフォーム費用を上回る指値ができれば、収益性の高い物件として成立します。費用対効果を見極めたうえで購入できれば、リフォーム後に家賃アップも期待できます。
任意売却物件
ローン返済が困難になったオーナーが、競売を避けるために市場価格よりも安く手放す「任意売却物件」も狙い目です。オーナー側には「いくらで売れても手元にお金が残らない」という事情があるため、価格にこだわらないケースが多く、交渉の余地が大きいのが特徴です。
ただし、物件によっては抵当権の処理や契約の調整が必要になる場合もあるため、初心者の場合は信頼できる不動産会社を通じて進めることをおすすめします。
相続物件
相続によって親族間で共有された不動産は、現金化を急ぐ目的で売りに出されることがよくあります。とくに相続人が複数いる場合や資産の分配がスムーズに進まない場合は、多少価格が下がっても早期に売却したいと考える人が多く、大幅な指値が通ることもあります。
こうした物件は、売却までのスピードが重視されやすく、相場より安く優良物件を取得できるチャンスとなるでしょう。
「年収600万円が購入できる物件の価格・種類・立地」と「不動産投資で「節税」する方法」
年収600万円が購入できる物件の価格・種類・立地
資産を増やすためにはさまざまな投資方法があります。近年、年収600万円ほどの人から注目を集めているのが不動産投資です。不動産投資をはじめるタイミングでもっとも多いのが年収600〜800万円で、年収600万円の多くの方が不動産投資に挑戦しています。
一般的に年収600万円の方であれば、月に4〜8万円ほど投資にまわせます。不動産投資といっても、物件の種類や立地によって利益などは大きく変わってくるでしょう。
ここでは、年収600万円ほどの人に手の届きやすい物件の価格や種類、立地について解説します。また、不動産投資をより具体的にイメージできるよう理想的な利回りについてや、3,000万円の物件を購入した場合の利益のイメージも紹介します。
ほかにも、年収600万円ほどの方が利用しやすい金融機関も紹介しますので、これから不動産投資にチャレンジしたい方や、投資のための不動産を探している真っ最中の方は、ぜひ参考にしてみてください。おおよその目安を把握し、不動産投資に活かしましょう。
4,000万円ほどの物件
物件を購入する際、貯金からすべて捻出できればよいのですが、多くの方がむずかしいでしょう。そこで便利なのがローンです。ローンを組めば手元に大きな金額が用意できるため、不動産購入できるでしょう。
年収600万円ほどの方であれば、最大で4,800万円ほどの融資が受けられます。平均返済率は収入に対して15〜25%ほどです。返済期間ですが、25〜35年程度が目安となります。
ですから、購入できる不動産物件の価格は3,000〜5,000万円ほどでしょう。都心部であれば3,0000万円前後の中古マンション、地方であれば4,000万円の新築ワンルームマンションがおすすめです。
利益のイメージ
では、具体的にどのように利益が発生するのでしょうか。ここでは、年収600万円の方が3,000万円の物件をすべてローンで購入したケースをモデルに解説します。
まず、不動産投資を目的として金融機関から3,000万円の融資を受け、3,000万円の物件を購入したとします。返済金額の合計は、利息分の20%をプラスして3,600万円となるでしょう。
3,600万円を35年かけて返済する場合、年間103万円返済する必要があります。月に換算すると、8,5万円ほどになるでしょう。
家賃のなかに40〜50%ほどのローン返済金額を設定したと仮定すると、家賃は11,9~12,75万円が目安となります。家賃12万円とランニングコスト1万円、ローンの返済金額8,5万円とすると、毎月2,5万円ほどの利益が見込める計算になるでしょう。
ランニングコストの内容は、建物管理費や修繕にかかる積立金、保険や税金などさまざまなところでお金がかかります。また、利回りについてですが、新築の物件であれば3〜10%ほど、中古物件であれば5,5~15%ほどが理想的と言えます。
おすすめの金融機関
不動産投資するうえで、融資を受けられるか否かという問題は最大の大きなポイントとなります。メガバンクなどの金融機関の場合、年収600万円ほどだと融資を受けられない可能性があり、チャレンジする金融機関を慎重に選ぶ必要があるでしょう。
年収600万円の方におすすめなのが、SBJ銀行や地方銀行です。SBJ銀行や地方銀行であればメガバンクに比べて比較的審査が通りやすく、融資を受けられる可能性が高くなるでしょう。
融資が通るかどうかは、借入する人の勤続年数や他の借入状況が大きく影響します。勤続年数が短かったり、ほかに借入がある方は注意が必要です。また、物件の有益性や担保評価といった点も審査に影響するでしょう。
不動産投資で「節税」する方法
不動産投資には、お金がつきものです。不動産投資する際、少しでも節税できないものかと考える方も多いでしょう。ここでは、所得税や住民税についてや、不動産投資における節税について解説します。
不動産投資で節税できる項目は、所得税と住民税です。少しでも節税できれば、利益へとつながります。また、所得税と住民税を節税する際に欠かせないのが損益通算です。
損益通算にどういった経費が載せられるのかも細かく解説します。不動産投資において節税は大切なポイントなので、しっかりと知識をつけておきましょう。
所得税と住民税
税金にはたくさんの種類がありますが、なかでも所得税と住民税は身近な税金の一種として聞き馴染みのあるものです。しかし、具体的にどこが徴収していて、なにによって税金額が決定するのかしっかりと把握しきれていない方もいるでしょう。
所得税と住民税は、不動産投資の節税において重要です。まず、所得税と住民税についてですが、所得税は都道府県と市区町村が徴収している税金です。
所得税はご自身の所得によって金額に違いがあります。所得が高くなっていけばいくほど、所得税も高くなっていきます。また、住民税は都道府県と市区町村が徴収している税金で、所得金額によって納める金額が前後します。
ですから、所得税が高いほど住民税も高くなるという仕組みです。所得税と住民税の基本知識を身につけておくと節税についても理解しやすくなるでしょう。
節税には申告が必要
では、具体的にどのくらい所得税と住民税を節税できるのでしょうか。まず、所得税と住民税を節税する場合、損益通算をもとに所得の額を少なく申告する必要があります。
これにより節税対策できるのです。損益通産ではマンションの物件を購入する際、大きく節税できるでしょう。
不動産投資での損益通産は万が一赤字が発生した場合、勤め先からの収入やほかの収入から赤字の分を差し引いて、所得税や住民税を算定できます。3,000万円でワンルームマンションを購入した場合、家賃収入が発生しないと3,000万円の赤字となるでしょう。
赤字の分を収入の600万円から差し引いて、所得税として申告できるのが損益通産です。所得税が軽減されるということは、住民税も軽減されます。
これにより所得税を大幅に節税できるメリットがあるでしょう。ただし、3,000万円すべてが初年度に赤字になるわけではないことをご理解ください。また、必要経費も損益通算に載せられます。
必要経費も損益通産に載せられるため、所得税や住民税の節税効果につながるでしょう。不動産投資においての必要経費は固定資産税や都市計画税、登録免許税などといった租税公課や、火災や地震保険などの損保保険料が該当します。
損保保険は、物件に万が一のことが起こった際に役立つためかけておくと安心ですから、利用するケースも多いでしょう。年数が経過している物件の場合、さまざまなところで修繕などが必要になってきます。
外壁の塗り替えや設備の修繕、床の張り替えなどといった修繕費も損益通産に載せられます。修繕にかかる費用は安くないため、忘れずしっかりと損益通産に載せてください。
不動産購入する際、ローンを利用する方も多いでしょう。ローンを組む場合、利息が発生します。不動産を購入する場合に理想したローンの利息も借入金の支払利息として損益通産に載せられます。
ほかにも、管理費や広告宣伝費、交通費や通信費、新聞図書費や接待交際費、消耗品費や税理士報酬が該当するでしょう。不動産にはさまざまな経費がかかります。
不動産投資をはじめる前には想像もつかなかったところで経費がかかってきたり、思わぬタイミングで設備に不具合が生じ費用がかかったりするものです。損益通産に載せられる項目はたくさんあるため、把握しておくと節税に役立つでしょう。
まとめ
今回は、年収600万円超えの会社員に向けて、不動産投資の基本知識や家賃収入の考え方、投資用物件の選び方などを解説しました。年収600万円以上の会社員は、安定した収入と信用力を活かして、不動産投資に挑戦しやすい立場にあります。ローンの審査が通りやすく、節税や資産形成の面でもメリットが多いため、将来を見据えた投資手段として有効です。ただし、始めるにあたっては、収益性のシミュレーションや物件選び、リスクへの備えが欠かせません。とくに、価格交渉が可能な物件や再生可能な中古物件など、目利き力が収益を大きく左右します。慎重な計画と長期的な視点で、着実な資産構築を目指しましょう。本記事が参考になれば幸いです。
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