公務員がアパート経営をするためには?

公開日:2024/06/19 最終更新日:2025/09/25
アパート経営

原則として、公務員の副業は認められていません。しかしアパート経営に関しては、一定の条件をクリアしていれば少額からでもはじめられます。

そこで今回は、公務員がアパート経営するための情報について情報をまとめてみました。「収入を増やしたい」「アパート経営に興味がある」という方は、ぜひ参加してみてください。

アパート経営をするための条件とは

一般的に、公務員の副業は禁止されており、アパート経営に関しても同様です。そのため、万が一規定に反した場合、公務員全体や所属している自治体の印象がマイナスになるだけでなく、減給や免職処分が下される可能性があります。

しかし「ある条件」を満たしていれば、公務員でも副業としてアパート経営ができるようになります。ここでは、その条件について解説します。

規模は4棟9部屋以下

アパート経営が可能になった場合でも、経営できる規模は決まっています。国家公務員法によると、独立家屋数5棟以上・部屋数10室以上だった場合、営利目的と判断されます

要するに、公務員がアパート経営をするには、4棟9部屋以下の規模でなければいけないということです。土地の賃貸に関しても、賃貸契約数と駐車台数がそれぞれ10件/10台以上になるのは禁止されています。

家賃収入は年間500万円未満

次に年間の家賃収入です。公務員のアパート経営は営利目的であることが禁じられているため、膨大な収入があると不動産投資と判断されてしまう可能性があります。そのため、家賃収入は年間500万円未満に抑えなければいけません。

もちろん、事業を目的とした経営でなくても、年間の家賃収入が条件以上になってしまうと、国家公務員法の規定に反してしまうので注意が必要です。アパート経営をする際は、家賃の上げ下げに気をつけながら、収支のバランスがよい物件を探すようにしましょう。

管理業務は委託する

国家公務員法によって、公務員が管理業務をおこなうことは禁止されています。アパート経営における管理業務とは、入居者募集や賃料の集金、維持管理などが挙げられます。これらはすべて管理会社に任せることが義務付けられており、自身の職務に支障をきたないようにしなければいけません。

この条件に関しては、管理会社に依頼すればよいだけなので、比較的に条件を満たしやすく、トラブルになりにくいでしょう

もちろん、現状を把握するために、自身が確認し管理会社に伝えることは可能です。あくまで管理業務が禁止されているだけなので、管理が行き届いていない箇所をこまめにチェックするのは問題ありません。

公務員が副業を禁止されている理由

公務員は国民全体の奉仕者として位置づけられていることから、副業は原則禁止されています。ここでは、副業を禁止している背景をくわしく解説します。

職務専念の義務

公務員が副業を禁止されている最大の理由が「職務専念の義務」です。国家公務員法第101条には「職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。」と明記されています。

同様に、地方公務員法第30条にも「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」と記されています。このように、公務員は職務に専念する義務が課されています。

これは国民や地域住民の利益を第一に考え、公正かつ効率的に行政サービスを提供するための基本的なルールです。もし副業を認めてしまえば、本来業務に割くべき時間や労力を副業に費やすことになり、結果として行政の質やスピードが低下してしまう可能性があります。

さらに、過労や健康被害を引き起こすことで公務に支障が出るリスクも無視できません。こうした理由から、原則として副業は禁止されており、特別な許可を得ない限り兼業を行うことはできない仕組みになっています

守秘義務

公務員は、職務上知り得た秘密を漏えいしてはならない「守秘義務」を負っています。日々の業務を通じて知り得た情報は、個人情報や国家機密を含む重要なものであり、万が一外部に漏れることがあれば、社会に深刻な影響を及ぼしかねません。

国家公務員法・地方公務員法ともに「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」と明記されています。違反した場合には罰則が課されます。

副業を行う場合、その活動を通じて意図せずに情報が流出するリスクが生じます。たとえば、不動産業やコンサルティングなどの副業に関わった場合、業務上の情報を活用して不当に利益を得ることも理論上は可能です。

これが「利益相反」となり、行政への信頼を大きく損なう要因となります。こうした事態を未然に防ぐため、公務員は副業によって守秘義務を侵害する可能性のある行為を禁止されているのです。守秘義務違反が発覚した場合、懲戒処分だけでなく刑事罰の対象となる場合もあるため、法的にも極めて重く扱われています。

信用墜落行為の禁止・中立性の確保

さらに、公務員には「信用失墜行為の禁止」と「政治的中立性の確保」という義務も課されています。信用失墜行為の禁止とは、公務員としての社会的評価を著しく損なうような行為をしてはならないという規定です。副業を行い、その結果として公務員の本分を忘れたような印象を与えれば、国民や地域住民からの信頼が揺らぐ可能性があります。

また、公務員は政治的に中立であるべき存在です。もし副業を通じて特定の企業や団体と深く結びついてしまえば、行政運営における公平性が疑われかねません。

たとえば、特定の政治団体や社会的に批判を浴びる可能性のある事業の運営に関わることによって、業務上の判断に偏りが生じたと見なされる可能性があります。こうした事態を防ぐために副業が制限されているのです。つまり、副業禁止は公務員が「全体の奉仕者」として社会からの信頼を守り、中立性と公平性を担保するために設けられているルールといえるでしょう。

ただし、近年は働き方改革や地方創生の観点から、副業禁止の規制が緩和される動きが見られ始めています。一部自治体では、地域活性化や職員のスキルアップを目的として副業を認めているところもあります。

アパート経営が勤務先にばれる理由

公務員は原則として副業が禁止されていますが、一定の条件を満たしている場合にはアパート経営をしても問題ありません。なかには「黙って経営してしまおう」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、一定規模以上のアパート経営を隠れて行うとばれる可能性が高いので、注意が必要です。ここでは、アパート経営が勤務先にばれる主な理由を3つ紹介します。

住民税が天引きされているため

アパート経営によって得られる収入は「不動産所得」として課税対象になります。確定申告を行うと、その情報は税務署から市区町村に送られ、翌年度の住民税額に反映されます。

通常、給与所得者である公務員は住民税が「特別徴収」という仕組みにより勤務先からの給与天引きで支払われています。特別徴収とは、勤務先が税金を給与から控除して代わりに収めてくれる制度です。

このため、不動産所得があると住民税の額が給与水準に比べて高くなり、勤務先の人事や経理部門に違和感を持たれる可能性があります。たとえば、同じ給与ランクの職員と比べて住民税の金額が明らかに大きい場合、「副収入があるのでは」と推測されることになります。

また、普通徴収に切り替えて直接納付する方法もありますが、勤務先が不自然と感じて調査する可能性もあります。このように、住民税の徴収額の変動によってアパート経営をしていることが勤務先に知られるケースは少なくありません。

不動産投資を法人化したため

アパート経営の規模が大きくなると、税務上のメリットや経営の効率化を目的に法人化する人もいます。しかし、公務員が会社を設立して代表者となることは、副業禁止規定に明確に抵触します

法人化すると、登記簿謄本に法人の名称や所在地などが記録されます。法人登記の情報は公開されているため、勤務先や第三者が調べれば容易に確認できます。

たとえば、不動産賃貸会社の代表取締役に公務員の名前が記載されていれば、一目で副業に関わっていることが分かってしまいます。法人化は節税や資産管理の面でメリットがある反面、勤務先にばれるリスクを大幅に高める行為といえます。

さらに、法人化した場合には、不動産所得ではなく、役員報酬として所得を受け取ることになります。不動産所得であれば住民税を自分で支払うことができますが、役員報酬は分けることができないため、勤務先で天引きされることでばれるリスクがあります。

法人を設立したことで発覚し、懲戒処分に至るケースもあるため、公務員が安易に法人化するのは非常に危険です。

家族や本人がほかの人に話したため

意外に多いのが、家族や本人の発言がきっかけで勤務先にアパート経営がばれるケースです。たとえば、親しい同僚との会話の中で「副収入がある」と話してしまったり、家族がうっかり知人に伝えたりすることで噂が広がることがあります。

とくに地方自治体などの職場では人間関係が狭いため、ちょっとした情報がすぐに組織内に共有されてしまいます。内輪だから問題ないと判断してSNSでアパート経営をしていることを書き込んだり、話したりすると、思わぬところから勤務先に伝わる恐れがあります。

また、アパートの管理を本人や家族が直接行っている場合、入居者や近隣住民を通じて勤務先に情報が伝わることもあります。このように、自らの行動や発言が引き金となって副業が発覚するリスクは少なくありません。副業禁止規定に抵触するだけでなく、信頼関係にヒビが入る結果を招くため、極めて注意が必要です。

いずれにしても、減給や懲戒処分、懲戒免職のリスクを負いながらアパート経営をするのは元も子もないので、一定の規模を超える場合には必ず申請し、許可を得てから手続きを進めることをおすすめします。

条件の範囲を超えた場合とアパート経営の注意点

公務員がアパート経営をするためには、4棟9部屋以下・家賃収入が年間500万円未満・管理業務はおこなわない、以上の3つの条件を満たす必要があることがわかりました。これらの条件を1つでも満たなかった場合、申請が必要です。

また、アパート経営にはいくつかの注意点も存在します。安心安全に経営するためにも、事前に確認しておきましょう。

必ず申請する

条件の範囲を超えると、申請が必要になります。申請方法は、以下のとおりです。

まず「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」を承認権者に提出します。提出の前に必ず必要事項を記入し、不明な点がないようにしておきます。

次に、必要な資料を準備します。資料は、アパートの図面や不動産状況がわかる不動産登記簿の謄本、賃料収入額を明らかにする賃貸契約書のコピー、アパート管理がわかる管理業務委託の契約書コピーなどが挙げられます。

このほかにも、本人の人事記録の写し・事業主の氏名および本人との続柄・参考資料も必要です。事業主の名義が本人以外の名義だった場合、本人がアパート経営にどれくらい関与しているかも明らかにしておきましょう。

地域によっては必要書類や条件が異なる場合があるので注意してください。

申請が許可されやすい条件

申請が許可されやすい条件というものがあります、不安に感じている方は、自身がその条件に当てはまるかも確認しておくと安心です。

主なケースは、以下の2つになります。

1つ目は「相続」に関する不動産の獲得です。なかには、自身の意思とは関係なく、アパート経営をするケースがあります。それが、遺産相続や生前贈与によって得た不動産です。相続税の対策として効果的な方法ですが、評価額も抑えられて比較的メリットになりやすいでしょう。

2つ目は「転勤」「生活環境の変化」などによる場合です。1部屋もしくは1軒の貸し出しであれば問題なく経営できます。ただし、引っ越す地域が遠くなるにつれて、管理会社との連携が重要になります。

成功するとは限らない

条件を満たしていれば、公務員にとってアパート経営はさまざまなメリットが得られます。一方で、必ずしも成功するとは限らず、確定申告の必要性やリスクに備えるなど、注意点も存在します。また、所得できる不動産にも限度があることをきちんと理解しておきましょう。

アパート経営で成功するためには、自身も経営状態を把握しておくことです。空室がある場合は対策を、地域のニーズに合ったリフォーム計画や定期的なメンテナンスも忘れてはいけません

たとえすぐに経営をスタートできても、長期的に安定しなければ失敗してしまいます。

確定申告が必要になる

アパート経営で利益が出ると、翌年から確定申告が必要になります。万が一確定申告を怠ると「無申告加算税」が課されるので注意してください。

確定申告の書き方がわからない方は、税理士へ相談するのもおすすめです。アパート経営で発生する費用のなかには、経費として計上できるものも多いので、領収書はしっかり保管しておきましょう

リスクに備えておくこと

日本は地震や災害が多いため、想定外のリスクに備える必要があります。必ず火災保険や地震保険などに加入し、空室が増えた場合や家賃収入が減少した場合の対策をとっておきましょう。

また、修繕計画よりも早く設備や建物が故障してしまう可能性もあるため、大規模な修繕費に備えて自己資金を多めに用意し、定期的にキャッシュフローを確認しておくことも大切です

少額でもアパート経営をはじめることはできますが、いつ災害が起こるかわからないので、余裕をもって準備しておきましょう。

アパート経営をするとどんなメリットがある?

条件のクリアやいくつかの注意点はあるものの、公務員がアパート経営することで得られるメリットはきちんと存在します。

ここでは、とくにうれしいメリットを2つ紹介します。

ローン審査にとおりやすい

公務員は、収入が安定しており、国や地域のためのサービスに従事できる社会的信用度の高い業種です。そのため、アパートローンの審査にとおりやすく、低金利での融資も受けやすいといわれています

これは要するに、少額でもアパート経営ができるということになります。ローン負担を抑えられるので、ほかの業種より安心して経営がはじめられるでしょう。ただし、融資基準・条件・限度枠は金融機関によって異なるため、どこを選ぶかも重要になってきます。

不労所得を得られる

不労所得が得られる点も、大きなメリットでしょう。公務員は営利目的での副業が禁止されているため、収入を増やすには勤続年数を重ねたり、キャリアアップしたりするしか方法がありません。

また、近年は公務員の平均年間給与が減少傾向にあると報告されています

そのため、収入を増やすなら条件クリアで副業ができるアパート経営が効果的といえるでしょう。管理業務は管理会社に委託できるので、本業がおろそかになる心配もありません。

まとめ

公務員がアパート経営をするために必要なことを紹介しました。副業が禁止されている公務員にとって、唯一条件を満たすことではじめられるアパート経営は、非常に大きなメリットになります。

とくに昨今は公務員の平均年間給与が下がってきているので、収入を増やすにはもってこいといえるでしょう。

ただし、経営に最適な物件選びや想定外のリスクに備える必要があり、必ずしも成功するわけではないことも理解しておかなければいけません。

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