
不動産投資をする際は、戸建て投資も選択肢の1つになります。戸建て投資とは、どんな投資なのでしょうか。ここでは、メリットやデメリットを含め、戸建て投資について詳しく解説します。戸建て投資や不動産投資全般に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
戸建て投資とは
戸建て投資は、一戸建て住宅を購入して、家賃収入や売却収入を得る不動産投資です。対象となる物件は新築と中古があり、新築物件だと数千万円かかるので、初心者や費用を抑えたい方には中古物件がおすすめです。
ただし、中古物件の戸建て投資には、以下のような注意点があります。
修繕や管理にかかる手間が大きい
中古の戸建て投資が、ほとんどの人に向いていない最も大きな理由は、非常に手間がかかることにあります。これに対して、都心の一戸建ての場合は、価格が高いために利益が上がりません。そこで、利益を上げるためには、できるだけ安く仕入れて手直しをする必要があります。
だから手間がかかるのですが、手間がかかる理由は他にもあります。戸建て投資で利益を上げるには、リフォーム費用を減らすために、DIYをする必要があります。つまり、DIYのための時間も必要なのです。しかし、これは簡単にできることではありません。
ただし、一旦入居者が入れば、管理が比較的簡単であるという利点があります。小規模な建物の修理は、入居者が対応することが多いためです。しかし、退去が発生した際は修理の手間とコストが増加することも知っておきましょう。
特に長期間住んでいた場合、内装だけでも家全体の修理が求められます。時間が限られたサラリーマンにとっては、これらに対応するのは困難が伴います。
リフォーム費用が高額になることもある
物件価格が安くて表面上の利回りが高い物件でも、実際にはリフォーム費用が予想以上にかかり、利回りが大幅に下がるケースが少なくありません。
入居需要の見極めが難しい
戸建てや区分マンションのデメリットの一つは、部屋が一室しかないため、入居率は0%か100%のいずれかです。空室の場合、家賃収入が0円になるリスクがあります。
このような空室リスクを減らすため、戸建て物件を探す際は、周辺地域の入居需要や賃料相場を、事前にリサーチすることが重要です。
オーナーチェンジ物件を探すのも一つの戦略ですが、その際は現在の賃料が相場賃料と比べて妥当か否かを、確認する必要があります。相場よりも高い賃料で入居している場合、入居者が出たあとに家賃が下がるリスクが高まるため、注意が必要です。
資産拡大のペースが遅い
戸建て物件は投資額が少ないため、受け取る賃料収入も限られており、迅速に資産を拡大したい方には向いていません。現金で購入の場合はレバレッジを活かせず、規模拡大の速度はさらに遅くなります。
戸建て投資が向いている人
以下の内容に当てはまる人は、戸建て投資に向いています。
時間の余裕がある人
古い戸建てへの投資にはリフォームが伴いますが、収益性を高めるためには可能な限りリフォーム費用を抑えたいところです。そのためには、安価で工事を行なってくれる業者との関係を築いたり、自分でDIYをしたりする努力が必要です。
これらは基本的に平日に他の仕事があるサラリーマンには難しく、時間的に余裕がある人に適した投資ということになります。さらに、戸建て投資をアパートと同じ規模に引き上げるためには、物件探しから購入、改修、入居者の確保に至るまでの、一連のプロセスを繰り返す必要があります。
遠方でこの作業を実施する場合は、一棟アパートを購入して管理を業者に委託するタイプの投資に比べると、非常に手間がかかります。
リスクをできるだけ低く抑えたい方
不動産投資をしたいけど、リスクを避けたいという方にも、戸建て投資はおすすめです。戸建て投資は、アパート投資と比較しても少額で始められるため、リスクを軽減できます。
もちろん、拡大のスピードは遅くなるものの、まずはリスクの少ない戸建て投資に挑戦し、2棟目以降でアパートを購入するという戦略も、選択肢の1つとなります。
戸建て投資のデメリットを打開できる物件なら尚可
投資家が中古戸建てを買ってリフォームするのは、費用も時間もかかりますが、中古戸建てをリフォームして販売する業者から購入する方法もあります。このような業者から購入すると、すでに改修されているため投資家が自ら改修する必要がありません。
購入した時点で即座に賃貸可能な状態であり、購入後の改修という最も手間とコストがかかる難題をクリアしています。たとえ利回りが少し減少したとしても、これらの手間が省けるというメリットは、決して小さくありません。
戸建て投資のメリット
古い戸建てを購入し、リフォームするスタイルの投資法は基本的にお勧めしませんが、一部の人や特定のケースでは推奨できることがあります。
利回りが高い傾向
戸建て物件は、アパートやマンションと比べて少ない投資額でありながら、高い賃料で貸し出しやすいという特色があります。賃貸用の戸建ては供給が限られており、物件ごとに特性が強いので、他の物件と競合しにくいという特徴があります。
一方、アパートやマンションのような集合住宅では、競合する賃貸物件が周囲に多数存在するため、相場を超えた賃料を取りづらくなります。また、戸建てでは集合住宅のような管理費や修繕積立金が発生しないため、運営コストを抑えられるという点も、利回りを高める要因の1つと言えるでしょう。
立地が悪くても収益が見込める
都心から離れた場所や駅から距離のある立地でも、賃貸の需要が期待できるのも、戸建て投資のメリットです。通常、地方や郊外、駅からの距離が遠い物件は、収益に結びつかない場合も少なくありません。
これは特に一人暮らしの独身者に、駅までの距離や通勤の時間の短さを重視する傾向が根強くあるためです。しかし、戸建て物件を購入するファミリー層は、必ずしもそうではありません。
都心から遠かったり駅から離れていても、広い家に住みたいと考える人が多いので、交通アクセスが悪くても需要があります。
ペット飼育が可能だったり、駐車スペースが完備している庭付きの物件などは、とても人気が高いため、少し不利な立地でも十分に投資対象となる可能性があります。
入居期間が長期にわたる
ファミリー層は一人暮らしの世帯と比べて、入居期間が長い傾向があります。ファミリー層では子どもの通学などの問題があるため、個人世帯のように簡単に引っ越しができないからです。
このように、ファミリー層の場合は子どもの学校があるため、なるべく長く住みたいと考える傾向があります。こういった傾向は、戸建て投資をする側にとって有利に働きます。
投資用戸建て物件選びのポイント
中古住宅に投資する場合、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認を取得した、新耐震基準の物件を選ぶことが重要です。新耐震基準の物件を選ぶべき第一の理由は、もちろん耐震性の高さです。
新耐震基準は、震度6強から7程度の揺れでも壊れないような構造基準として規定されています。これに対し、旧耐震基準(昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けた物件)は、震度5強程度の揺れでも建物が倒れず、もし破損した場合でも修繕することで居住が可能な構造基準として定められています。
新耐震基準を選ぶべき第二の理由は、融資に関する問題です。投資目的で戸建てを購入するのであれば、出口戦略についても考慮しておく必要があります。旧耐震の物件は、金融機関から融資が受けられないことが多いため、売却時に買い手を見つける難しさも考えなければなりません。
建物として売却することを考えているのであれば、旧耐震の物件は避けた方が良いでしょう。ただし、長期間保有する場合や、更地にして売却する場合は、この限りではありません。
安全性に問題のない物件(業者が売却する物件が理想的)
中古戸建てを選ぶ際は、傾きが見られる物件やシロアリ被害を受けた物件は避けるべきです。これらは安全性に深刻な問題があり、修復するのが困難なため、絶対に購入しないようにしたいものです。
水平器を使って傾きを計測したり、床下を確認することも不可能ではありませんが、手間がかかります。1つの解決策は、業者が売主である物件を買うことです。業者が売っている場合、売主は契約不適合責任を負うことになります。
契約不適合責任とは、その物件に「隠れた瑕疵」などの欠陥があった場合に、売主が責任を負うことを意味します。この責任があるため、中古物件を取り扱う業者は、基本的に重大な欠陥をきちんと調査し、問題を解決してから販売します。だから安心なのです。
一方で、仲介物件の場合は、売主が業者ではなければ、契約不適合責任はありません。物件購入後に重大な瑕疵が見つかっても、売主に責任を求められないため、注意が必要です。
戸建て投資のデメリット
戸建て投資は、家賃収入や将来的な売却益を期待できるため、不動産投資の中でも注目を集めています。しかし、戸建て投資には他の不動産投資にはないデメリットが存在します。このデメリットを事前に理解しておかなければ、思ったような収益が得られなかったり、予想外の出費が発生したりする可能性があります。
初期費用の高さ
まず、初期費用の高さが大きなデメリットとなります。戸建て投資は、マンション投資に比べて購入価格が高くなるケースが多いため、投資のスタート時点でまとまった資金が必要です。マンション投資の場合、区分所有のため土地を含まないため物件価格が抑えられますが、戸建て投資は土地と建物をセットで購入しなければなりません。これにより、物件価格自体が高額になりやすく、さらに登記費用や不動産取得税、仲介手数料、固定資産税などの諸費用が上乗せされるため、トータルの投資額が膨らみやすくなります。
住宅ローンを利用する場合は、金融機関の審査が厳しくなることもあります。戸建ては一棟単位での購入になるため、借入額が高額になりやすく、金利負担が大きくなりやすいことが特徴です。さらに、自己資金を多く用意しなければならないケースもあるため、初期費用の負担が他の不動産投資よりも重くなることがデメリットとなります。
維持費や修繕費が高額
維持費や修繕費が高額になることも、戸建て投資特有のデメリットと言えます。マンション投資の場合は、共用部分の維持や修繕を管理組合が負担するため、個人の負担は管理費や修繕積立金に限られます。一方、戸建ては建物全体を自己所有するため、外壁や屋根、給排水設備など、すべてのメンテナンス費用をオーナー自身が負担しなければなりません。
特に築年数が経過すると、屋根や外壁の塗装、シロアリ被害への対策、給湯器の交換などが必要になり、修繕費が膨らむケースが多くなります。これに加えて、エアコンやキッチン設備などの故障や、配管の老朽化によるトラブルが発生すると、一度に数十万円から百万円を超える修繕費が必要になることもあります。修繕費を見越した資金を事前に準備しておかないと、キャッシュフローが悪化する可能性があります。
賃貸需要の不安定さ
賃貸需要の不安定さも、戸建て投資のリスクのひとつと言えます。マンション投資の場合、都市部や駅近の物件であれば単身者や学生をターゲットにした賃貸需要が安定しています。しかし、戸建ての場合はファミリー層を主なターゲットとするため、需要が不安定になりやすい傾向があります。特に地方や郊外では、人口減少や過疎化が進んでいるため、借り手がなかなか見つからないケースも多い場合があります。
さらに、戸建て物件は一戸建てであるため、借り手が退去した場合、すぐに新たな入居者が見つからなければその間の家賃収入はゼロになります。これにより、ローン返済や維持費の負担が直接的に収益に影響を与えることになることが懸念点です。
資産価値の下落
資産価値の下落も戸建て投資において注意すべきポイントです。マンション投資の場合、建物全体の管理が適切に行われていれば、資産価値を維持しやすいですが、戸建ての場合は築年数の経過に伴い資産価値が大きく下落する傾向にあると言えます。特に木造の戸建ては法定耐用年数が22年と短いため、築20年を超えると建物自体の価値がほぼゼロになるケースも珍しくありません。
周辺環境の変化
また、周辺環境の変化も資産価値に大きな影響を与えます。近隣に大規模な商業施設や公共交通機関が新設されれば資産価値が上がる可能性がありますが、逆に近隣にゴミ処理施設や高圧線が建設されると、物件価値が下がる可能性があります。このように、立地や周辺環境の変化によって資産価値が変動しやすいこともデメリットとなります。
売却時の流動性の低さもデメリットとなります。マンションの場合、駅近や人気エリアであれば築年数が経過していても買い手が見つかりやすいですが、戸建て物件は流動性が低く、売却に時間がかかることがあることが特徴としてあげられます。特に築年数が古くなった戸建てや地方にある物件は、買い手が見つかるまでに数か月から数年かかるケースもあります。
築年数が経過
また、築年数が経過すると、資産価値が大幅に下落するため、当初の購入価格を下回る価格でしか売却できないケースも見られます。売却益を期待していた場合には、損失が発生するリスクがあるため、売却時の戦略を事前に立てておくことが重要です。
節税効果が限定的であることもデメリットのひとつです。マンション投資では、減価償却を活用して節税が可能ですが、戸建ての場合は耐用年数が短いため、減価償却費の計上期間が短く、節税効果が限定的になる傾向があります。また、固定資産税や都市計画税の負担もマンションより高くなるケースが多いため、収益に与える影響が大きくなる可能性があります。
戸建て投資の注意点
戸建て投資を成功させるためには、上記のデメリットを踏まえてリスク対策を講じることが重要です。ここでは、戸建て投資を行う際に注意すべきポイントについて詳しく説明します。
立地選びがもっとも重要なポイント
戸建て投資において立地選びは成功を左右する最大の要素です。マンション投資と異なり、戸建てはファミリー層をターゲットとすることが多く、学校や病院、スーパーなどの生活インフラが充実しているエリアを選ぶことが重要になります。特に交通アクセスの良さは入居率に大きく影響を与えるため、最寄り駅までの距離や公共交通機関の利便性は必ずチェックする必要があります。
また、将来的な人口動向や地域開発の計画にも注目しなければなりません。今は人気があるエリアでも、人口減少や経済の衰退によって賃貸需要が低下する可能性があります。都市部へのアクセスが良く、学校や商業施設が近くにあるエリアは安定した賃貸需要が見込めるため、長期的に収益を確保しやすくなることが多い傾向です。一方で、過疎化が進んでいる地域や交通アクセスが悪いエリアでは空室リスクが高くなるため、注意が必要となります。
物件の状態や築年数をしっかり確認する
中古物件を購入する場合は、建物の状態や築年数を必ず確認する必要があります。戸建てはマンションと異なり、外壁や屋根、給排水設備などのメンテナンスをすべてオーナーが負担するため、建物の状態によっては高額な修繕費が発生する可能性があります。
特に築年数が20年を超える物件は、シロアリ被害や構造的な問題が発生している可能性があるため、専門家による建物診断を受けることをおすすめします。雨漏りや基礎のひび割れ、設備の老朽化などのトラブルは、入居者からのクレームや退去の原因になる可能性があるため、購入前に修繕費の見積もりを出しておくと安心です。また、建物が耐震基準を満たしているかどうかも確認しておく必要があります。
修繕計画を事前に立てる
戸建ては維持費や修繕費がマンションに比べて高額になる傾向があります。そのため、事前に修繕計画を立てておくことが重要です。特に築年数が経過すると外壁や屋根、給排水設備などの修繕が必要になるため、毎月の家賃収入の一部を修繕費用として積み立てておく必要があると言えます。
また、修繕が必要になる時期や費用の目安を把握しておくことで、突発的な出費にも対応しやすくなります。たとえば、屋根や外壁の塗装は10年から15年ごとに必要になるケースが多く、費用は100万円を超えることもあるので、給湯器やエアコンの交換も必要になることが多いです。計画的に修繕費を積み立てることが重要な要素となっています。
賃貸需要を見極める
戸建て投資はマンション投資と異なり、ターゲットとなる入居者層がファミリー層に限定されるケースが多いため、賃貸需要の有無を慎重に見極める必要があります。都市部や交通アクセスの良い地域では比較的安定した賃貸需要が見込めますが、郊外や地方では空室リスクが高くなる可能性があることが特徴です。
特に注意が必要なのは、人口減少が進んでいるエリアや周辺に競合物件が増えているエリアです。新築の戸建てやマンションが増えている地域では、築年数の古い物件は家賃を下げないと借り手が見つかりにくくなる可能性があります。ターゲットとする入居者層の需要やライフスタイルを考慮し、競争力のある賃貸条件を設定することが重要です。
収支計画を慎重に立てる
戸建て投資を行う際には、毎月の家賃収入と維持費、修繕費、固定資産税、ローン返済額などを含めた収支計画を立てる必要があります。特に空室リスクや突発的な修繕費を考慮したシミュレーションを行い、万が一、家賃収入がゼロになった場合でもローン返済が可能かどうかを確認しておくことが重要です。
ローンの金利上昇リスクや固定資産税の増額、管理費の上昇など、長期的なコストの変動を考慮した収支計画を立てることが必要と言えます。想定利回りが現実的かどうかを検証し、ローン返済や修繕費の負担が重くなりすぎないようにバランスを取ることがポイントです。
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