
近年、区分マンション投資に興味を持つ方が増えています。マンション投資は、現物資産が手元に残るので失敗のリスクが少ない投資です。区分マンション投資とはどういうものか、そのメリットとともにお伝えします。
CONTENTS
区分マンションとは
区分マンションとは、法的には区分所有建物の一形態です。区分所有建物とは、構造的に隔てられ、独立した居住空間を持つ複数のユニットから成る建物を指します。分譲マンションも、区分マンションのカテゴリーに入ります。
分譲マンションとの違い
分譲マンションは、法的には区分マンションの一種です。設備や仕上げなどの仕様は、分譲マンションの方が優れているのが一般的です。
区分マンション投資の仕組み
不動産投資を調査すると、区分マンション投資を推奨する情報が多く目に入ります。では、区分マンション投資とは具体的にどのようなもので、どのような仕組みや特徴があるのでしょうか。
区分マンション投資の詳細
区分マンション投資とは、マンション(区分所有建物)の一部屋または複数の部屋を購入し、その物件を賃貸して家賃収入を得る不動産投資の手法です。これに対して、マンションやアパートを全て所有し賃貸する手法は「一棟投資」と呼ばれます。
安定した不動産経営を行うためには適切な管理が必要ですが、区分マンション投資では管理範囲が専有部分に限られるため、管理会社に委託すればオーナー自身の手間はほとんどかかりません。そのため、ワンルームマンションであれば、比較的少ない資金で投資を始めることが可能です。
将来的に物件を売却する場合、単身者向けの物件は主に投資家に売却されることが多いのが現状です。しかし、ファミリー向けの物件は実際に住むことを希望する人に売却する可能性が高いため、売却の観点からは優位性があると考えられます。
新築と中古の違い
区分マンション投資では、新築か中古かによって投資の性質が大きく異なります。扱う会社が異なることも多く、新築と中古のどちらを選ぶかは重要なポイントです。
どちらも一棟投資に比べて、初期投資が少なく始められる点は共通していますが、不動産投資ローンが通りやすいのは新築の区分マンション投資です。ただし、旧耐震基準の物件でなければ、中古物件でも長期の不動産投資ローンを利用できます。
中古区分マンションは新築に比べて価格が低く、その分利回りが高いのが特徴でした。しかし、最近では中古物件の価格が上昇しており、新築と中古の価格差が縮まってきています。
また、2019年以降、一棟アパートや一棟マンションの価格は上昇傾向にあるのに対して、区分マンションの価格は横ばいで推移しています。特に中古物件は、比較的低価格で購入できるものも多くあります。
ある程度の自己資金を用意できる方であれば、自己資金の残り分だけを融資で賄うことで、さらに審査が通りやすくなるでしょう。区分マンション投資では、オーナーの管理責任は専有部分に限定されます。
共用部分、例えば共用廊下や階段、エントランス、エレベーターの管理は、建物全体を管理する会社の管轄です。もともと少ない管理業務を管理会社に委託すれば、オーナーの負担はほとんどなくなります。
このような手間の少なさから、区分マンション投資は「本業が忙しい会社員にも適している」と言われています。
流動性リスクが低い
不動産は一般的に高価で流動性が低い資産とされており、売却を希望しても簡単には売れないことが多いものです。アパートやマンションを一棟まるごと売却する場合、買い手は限られるのが一般的です。
区分マンションに投資するメリット
区分マンション投資には、以下のようなメリットがあります。
少額の投資から始められる
区分マンションは、投資金額が少ないため、一棟マンション投資と比べてリスクが低いのが特徴です。少額の投資をすることで、自己資本の割合を増加させ、借入金の比率を減少させられます。
全額自己資金での投資が可能
区分マンションの場合、物件の立地や築年数によっては、全額自己資金での投資が実現できるため、より安全な投資が行えます。投資の世界には「すべての卵を一つのカゴに入れてはいけない」という格言があるように、資産のバランスが崩れるとリスクが発生します。
区分マンションは、単身世帯向けのワンルームが多く、空室が少ない立地のよい物件が多いのが特徴です。不動産投資を初めて行う人でも、物件選びに失敗しにくいと言えるでしょう。特に東京23区では、ワンルームの賃貸ニーズが非常に高いため、23区内にある物件を選ぶのがおすすめです。
管理の手間がかかりづらい
戸建て投資は、アパートやマンションと比較すると管理の手間が少ない点がメリットです。共用部分がないため、エントランスや廊下などの維持管理が不要であり、管理にかかる時間やコストを抑えられます。
さらに、戸建てに住む入居者は長期間住む可能性があり、頻繁な入退去による手間が少ない点も魅力です。また、マンションやアパートでは定期的な共用部の清掃や修繕費の負担が発生しますが、戸建てではそれらのコストがかからず、突発的な修繕費のリスクも低減できるでしょう。このような理由から、安定した不動産経営を行いやすいのが戸建て投資の強みです。
共有部分がなく管理負担を軽減できる
マンションやアパートでは、エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部分があり、清掃や定期点検が必要です。一方で、戸建て物件にはそのような共用部分がないため、維持管理の手間を大幅に削減できます。
また、共用部分の管理費が発生しないため、月々の管理コストを抑えられる点もメリットです。マンションの場合、管理組合の決定に従う必要がありますが、戸建てはオーナー自身が修繕のタイミングを決められるため、費用のコントロールがしやすいでしょう。
さらに、管理会社へ委託する際も、共用部分の維持費が不要なため、管理委託費用を低く抑えられます。このように、戸建て投資は管理負担が少なく、効率的な運用が可能です。
空室リスクが低い
戸建て物件はファミリー層の入居者が多く、単身者向けのアパートやマンションと比べて長期間住むケースが一般的です。長期入居が続けば、空室リスクを減らせるだけでなく、入退去の際に発生する原状回復費用や、新しい入居者募集のための広告費も削減できます。
頻繁な入退去による手間が少なくなるため、オーナーの負担が軽くなる点もメリットのひとつでしょう。
修繕やメンテナンスの負担が少ない
マンションやアパートでは、外壁や共用部分の修繕費が定期的に発生し、オーナーが管理組合の決定に従って費用を負担する必要があります。一方で、戸建て投資では建物全体の管理がオーナーの裁量で行えるため、必要な修繕費の管理がしやすいのが特徴です。
また、戸建て物件では入居者が庭の手入れや簡単な修繕を自分で行うケースも多く、オーナーが頻繁に対応する必要がありません。特に、新築や築浅の戸建てであれば、設備の劣化が少なく、初期のメンテナンス費用を抑えられる点も魅力です。
さらに、マンションでは修繕積立金の値上がりなど、管理費の増加リスクがありますが、戸建てではその影響を受けず、自分のペースでメンテナンス費用を調整できます。このように、戸建て投資は修繕や管理の負担を軽減できるので、安定した資産運用を行いやすくなるでしょう。
流動性リスクが低い場合が多い
戸建て投資は、アパートやマンションと比較して流動性リスクが低くなりやすいでしょう。戸建て住宅は、ファミリー層からの安定した需要があるため、入居者の確保がしやすく、売却時にも市場流動性を確保しやすい点が特徴です。
また、賃貸としての需要だけでなく、将来的にマイホームを購入したい層からのニーズも高いため、売却時の選択肢が広がります。さらに、マンションと比較すると供給過多になりにくいため、適正価格での売却がしやすく、投資としての出口戦略が立てやすいこともメリットでしょう。
ファミリー層にとって魅力的な住環境
戸建ては子育て世帯にとって人気の高い住まいです。マンションに比べて専有面積が広く、隣接する住戸がないため、プライバシーを確保しやすい点が魅力です。
たとえば、庭付き物件なら、子どもやペットがのびのびと過ごせる環境が整いやすく、ライフスタイルに合わせたカスタマイズも可能です。このようなマンションにはない要素が安定した需要につながり、長期的に入居が見込めるでしょう。
供給過多になりにくく、競争が少ない
アパートやマンションでは、同じ建物内に複数の住戸があるため、賃貸募集の際に他の部屋と競争することになります。しかし、戸建ては1棟ごとに独立した物件であり、同じエリア内でも間取りや設備、敷地の広さなどの個性を打ち出しやすい点が強みです。
そのため、競争が少なく、適切な市場価格で売却や賃貸募集がしやすくなります。さらに、駅近や人気の住宅地では安定した需要が期待できるでしょう。
土地の資産価値が維持されやすい
戸建て投資の強みの一つに、建物の減価償却が進んでも土地の価値が残る点が挙げられます。マンションの場合、建物部分の価値が低下すると、資産価値も下がりやすいですが、戸建てでは土地部分の需要があるため、長期的に資産としての価値を維持しやすいでしょう。
また、将来的に再開発や土地利用の変更があった場合、売却時の利益を見込める可能性もあります。このような特徴から、流動性リスクが低い投資対象として選ばれています。
住宅ローンが利用しやすい
戸建ては住宅ローンを活用しやすいため、購入希望者にとって手が届きやすい不動産です。特に、ファミリー層が購入を検討することが多く、マンションのように管理費や修繕積立金の負担がない点も魅力の一つでしょう。
また、物件の立地や状態が適切であれば、将来的に自宅として利用する選択肢もあります。さらに戸建ての市場ニーズが高いエリアであれば、売却時に比較的短期間での取引が成立しやすく、流動性リスクを抑えられるのが特徴です。
区分マンション投資のデメリット
区分マンション投資のデメリットについて解説します。
収益性が低い可能性がある
区分マンションには、収益性が低い(利回りが弱い)物件もあります。特に借入金を用いて不動産を購入する場合、収支がギリギリになりがちです。
さらに、管理費や修繕積立金が高めの物件もあり、一般的な賃貸物件と比較すると費用率が高い物件も見受けられます。区分マンションは、自身で大規模な修繕を行う必要はありませんが、そのため修繕積立金が高額になる点も注意が必要です。
空き室の影響が大きい
区分マンションでは、賃貸できる居住スペースが1つしかないので、空室が生じると賃料収入がゼロになってしまいます。空室の期間中は、物件の維持費やローン返済額を自分で工面しなければなりません。
複数の部屋を持つアパートや一棟マンションと比べると、空室が及ぼす影響はかなり大きいと言えるでしょう。
区分マンション投資成功のポイント
次に、区分マンション投資の成功率を高めるためにできる施策や、留意点について見ていきましょう。
借入金を少なくする
区分マンション投資を成功に導くためには、全て自己資金で取り組むことが重要です。借入金を利用する場合でも、できるだけ少額にして、返済負担を減らすようにしましょう。
都内の物件は土地価格が高騰しているため、新築の場合、土地価格が占める割合は5~6割に達することがあります。したがって、借入金は物件価格の4~5割程度に制限することで、借入金が建物価格の範疇に収まる可能性が出てきます。
良好な立地の物件を購入する
駅から徒歩10分圏内など、可能な限り良好な立地の物件を選びたいものです。ただし、あまりに高級で家賃が月10万円を超える物件では、都内でも賃貸の需要が鈍化します。徒歩10分圏内かつ家賃が月10万円以下の物件が推奨されます。
中古の区分マンションを購入する
都内の物件には、古い建物の中にワンルーム条例施行以前に建てられた貴重な物件があります。最近の都内のワンルームは、ワンルーム条例によって最低住戸面積が、25平米以上である場合がほとんどです。また、賃料は抑えられていながら単価は高いため、収益率も向上します。
社会人向けの物件が狙い目
区分マンションは、単身の社会人を対象にした物件が収益性に優れています。社会人向けの物件は、交通アクセスが良好な都市部に数多く存在しています。通勤がスムーズで、周囲に多くの雇用がある地域の物件が理想的です。
区分マンション購入の流れ
区分マンション購入の流れは、以下の通りです。
1.物件の選定
物件選びから始めましょう。エリアとしては、23区や全国の政令指定都市、県庁所在地にある主要駅周辺の物件が推奨されます。
2. 資金計画
無理のない資金計画を作成しましょう。
3. 物件の購入申し込み
良い物件を見つけたら、購入申し込みをします。購入申し込みをする前に、支出の詳細を受け取りましょう。
固定資産税、都市計画税、損害保険料、管理委託費、管理費、修繕積立金といった固定的な運営コストが、いくらかかるのかチェックします。固定的な運営コストは、家賃の3割以内に収まるのが理想です。
4. ローンの申し込みと仮審査
売買契約の前に、ローンの仮審査があります。本審査は売買契約後でないとできないため、契約前に実際にローンを組めるか仮審査で確認しておきます。
5.売買契約の成立
売買契約は、「物件引渡し時に購入を行う」ことを記した書面による合意です。売買契約が結ばれても、所有権は直ちには移転しません。所有権が移転しないため、売買契約の際には代金の支払いは求められません。
しかし、契約の成立を証明するために、買主は売主に手付金を支払う必要があります。手付金の相場は、売買代金の10%です。
6.ローンの正式契約
売買契約が完了すると、住宅ローンの正式審査が行われます。住宅ローンの実行日時は、物件引渡し日です。
7.残金の決済および物件の引渡し
引渡し日には、手付金を除いた残りの代金を支払います。代金を支払うことで、初めて物件の引渡しが行われます。売主から所有権移転に必要な書類が渡され、登記の手続きを進めることが可能となります。
区分マンション投資が向いている人
以下に挙げるタイプの人が、区分マンション投資に向いています。
少ない自己資金で不動産投資をスタートさせたい方
一棟マンションやアパートは、投資総額が大きいために、かなりの自己資金を必要とします。しかし区分マンションは、自己資金が2,000~3,000万円程度あれば、全額自己資金で購入することが可能です。
区分マンションによる家賃収入は7〜15万円ほど見込めるので、老後の生活に不安を抱えている方も安心できるでしょう。老後への不安があり、10万円前後の収入を得たい方には、区分マンションへの投資が適しています。
また、生命保険の支出を抑えたい方には、団体信用生命保険に加入して区分マンションに投資することで、万が一の際に無借金の物件を家族に遺せます。団体信用生命保険とは、亡くなった際にローンの残債をカバーするための保険です。
そのため、団体信用生命保険に加入することで、現金ではなくても負債のない収益物件を残せます。したがって、区分マンションへの投資は、ある意味では生命保険の代わりになるということです。
早い段階から長期的な資産形成を望む方
早期から長期的な資産形成を志す方には、区分マンションへの投資が向いています。区分マンションは、比較的低額で投資できるため、若い方でも始めやすいという特徴があります。早いうちから投資を行い、老後までに借入金を返済できれば、老後の経済的な不安もなくなるでしょう。
区分マンションの売却手続き
区分マンションを売却する場合は、まず不動産投資に特化した不動産会社に査定を依頼します。売却にはある程度の期間を要し、売り出してから購入者が決まるまでに、約3ヵ月程度かかるのが通常です。
売却時には、購入希望者がすぐに購入を検討できるように、支出項目や過去の修繕履歴をまとめておきましょう。買い手が決まったら、売却契約を締結します。実際の引き渡しまでには、売却契約から1ヵ月ほどかかります。
売却によって税金が発生する場合は、売却の翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行います。
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