サブリースとは?サブリースの仕組みや注意点も解説

公開日:2024/12/15
サブリース

不動産投資に興味のある方なら「サブリース」という単語を一度は耳にしたことがあるでしょう。サブリースとは、不動産オーナーが物件の管理会社に一括で貸し出し、管理会社が転貸(再賃貸)する仕組みのことです。本記事では、サブリースの基本的な仕組みや契約時の注意点について解説します。

サブリースとは?特徴や仕組みも解説

サブリースは、不動産投資におけるひとつの賃貸運用方法で、オーナーとサブリース会社が賃貸借契約を結び、サブリース会社がその物件を入居者に転貸する形態の契約方式です。

専門的には、オーナーとサブリース会社が締結する賃貸借契約を「マスターリース契約」、サブリース会社と入居者が結ぶ転貸借契約を「サブリース契約」と呼びますが、一般的にはこれらをまとめて「サブリース」と表現します。

サブリースの仕組み

サブリースでは、サブリース会社が空室や賃料滞納などのリスクを引き受け、オーナーには毎月一定の賃料が支払われる仕組みになっています。仮に空室が発生した場合や、入居者が賃料を滞納した場合でも、オーナーは影響を受けずに安定した収入を得ることができるため、不動産投資のリスクを抑える効果があります。

入居者からの要望やトラブル対応もサブリース会社が行うため、オーナーにとって管理負担も軽減されます。サブリース会社は、入居者から受け取った転貸料から賃貸管理料や保証料を差し引いてオーナーに支払います。このため、サブリース契約を結ぶ際には、賃貸借契約と同時に管理業務委託契約を締結することが一般的です。

サブリースの種類

サブリース契約には大きく分けて「家賃保証方式」と「実績連動方式」があります。家賃保証方式は、入居者の支払う賃料が変動しても、サブリース会社がオーナーに一定の賃料を保証する方式です。

オーナーは空室や滞納リスクを気にせず、安定した賃料収入を得ることが可能です。一方、実績連動方式では、入居者からの賃料収入に応じてオーナーの受け取る賃料が変動します。

こちらの方式では賃料回収代行に近い形となり、オーナーは滞納や空室リスクを負うことになります。このため、長期契約で保証がある場合でも、賃料が実績連動方式であることを確認することが重要です。

サブリースの相場

サブリース契約では、サブリース会社が受け取る転貸料から一定の賃貸管理料・保証料を引いてオーナーに賃料を支払います。家賃保証方式の場合、管理料や保証料の相場は賃料の10~20%程度で、実績連動方式では保証料は不要で、管理料が5~10%程度が目安です。いずれの場合でも、オーナーが受け取る賃料は地域の賃料相場よりやや低めに設定されることが多いです。

サブリースのメリット

近年、サブリース契約に関する問題が取り沙汰されることもありますが、正しく活用すればオーナーにとって非常に多くのメリットがあります。ここでは、サブリースを活用することのメリットを解説します。

キャッシュフローの安定と予測が可能

サブリース契約の最大のメリットは、キャッシュフローが安定する点です。サブリース契約によりオーナーは毎月一定の賃料収入を受け取れるため、空室や家賃の滞納といったリスクに左右されることがありません。

収入が安定すれば、将来的な収支の予測がしやすくなり、設備の修繕や更新計画なども立てやすくなります。また、不動産投資初心者にとっても、ローンの返済に対する不安が軽減されるため、安心して事業に集中できるでしょう。

入居管理・滞納管理の手間を軽減

サブリースの利用で、入居者の募集や家賃滞納の管理といった煩雑な業務をサブリース会社に任せられます。オーナーの借主はサブリース会社1社のみとなるため、多くの入居者と直接契約を交わす必要がなく、管理上の手間が大幅に削減されます。

また、サブリース会社が退去時の原状回復や入居者の入れ替えにかかる費用を負担するケースも多く、空室による急な出費を抑えることが可能です。

確定申告がかんたんになる

サブリースを利用すると、確定申告の手間も大幅に軽減されます。通常、入居者の入れ替えや修繕費用などの細かな経費管理が必要ですが、サブリース契約の場合、オーナーが受け取る賃料は一定で、サブリース会社への管理料や保証料といったかんたんな経費項目だけで収支が完結することがほとんどです。

そのため、確定申告の際もサブリース会社からの明細をもとに申告書を作成するだけになります。物件数が増えると煩雑になりがちな申告業務がシンプルになるのは、とくに複数物件を持つオーナーにとって大きなメリットといえます。

サブリースを利用する際の注意点

サブリースの契約内容によってはオーナーに不利な状況を招くリスクも含まれています。ここでは、サブリース契約を検討する際の注意点をくわしく解説します。

家賃保証と借上保証を混同しがち

サブリース会社の営業担当者は、サブリース契約が安定収入をもたらすと宣伝することが多いですが、じつは賃料が固定されるのは契約期間内の一定の期間のみです

契約内容には、一定期間後に賃料が見直されるという条項が含まれることが多く、不動産市場の動向や物件の空室率に応じて賃料が減額される場合もあります。

オーナーが減額交渉に応じないとサブリース解約の恐れがあるため、泣く泣く減額に同意するケースも珍しくありません。この結果、当初の投資計画から外れ、ローンの返済に支障が出る恐れもあります。

解約トラブルに巻き込まれやすい

サブリース契約の解約条件が厳しく設定されている場合、物件の売却時に新しい買主から解約が求められても対応できないケースがあります。また、サブリース会社の一方的な判断で契約を打ち切られることもあり、不動産業者の意向に振り回されるリスクがあるため、解約条件は事前に慎重に確認する必要があります。

サブリース会社の倒産リスクに注意

サブリース契約では、本来オーナーが抱えるはずの空室リスクや家賃滞納リスクを、サブリース会社が引き受けます。しかし、サブリース会社が空室を抱えすぎたり、入居率が悪化したりすると資金繰りが厳しくなり、最悪の場合、倒産する可能性があります。倒産すると賃料保証も無効となるので、オーナーに大きな打撃を与えかねません。

まとめ

サブリース契約は安定した収益が見込めたり、入居管理・滞納管理の手間を軽減するなどのメリットがある一方で、倒産によるリスクや解約トラブルなど注意すべき点もあります。契約内容やサブリース会社の状況によってはオーナーに不利な事態を招くかもしれません。契約を結ぶ際は、契約内容やリスクを十分に理解し、事前の準備をしっかりと行うことが重要です。

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